医療現場の色分けユニフォームで残業削減【色のお役立ち事例】
色は私たちの日常生活に欠かせない要素であり、その効果はビジネス環境においても重要な役割を果たします。
今日は「色が現場の働き方改革に一役かった」といえる事例をひとつ紹介します。
日勤・夜勤の看護師をユニフォームで色分け
熊本市中央区にある熊本地域医療センターは、看護師の大きな離職理由にもあげられる「残業時間の多さ」に課題を感じていました。
そこで、2014年から始めたのが
「日勤の看護師と、夜勤の看護師のユニフォームによる色分け」
です。
日勤をバーガンディ(赤)、夜勤をピーコックグリーン(緑)としてユニフォームを2色制にしました。
すると、前年度に1人当たり年約110時間だった残業が半減。
2018年度には約20時間になり、ユニフォームの2色制導入から約5年で、残業時間は1/5になったそうです。
ユニフォーム2色制で残業時間が減った理由
日勤か、夜勤か。一目で判断できるようになったことで
・責任者や担当者が見つけやすくなる
・夜勤明けと知らずに指示を出すことがなくなる
・残業すると色違いの制服が目立ち、看護師自身も定時退勤を意識するようになる
といった動きが見られ、医師や他のスタッフによる指示が効率化したり、時間外勤務者であることが分かりやすくなり「定時で仕事を終わらせる」「定時間近のスタッフには声をかけない」などの意識が高まったことから残業時間が減ったのではないかと考えられています。
ヒントはアメリカンフットボールの攻守交替
このアイデアを思いついたのは、当時の院長先生。
早出や残業が常態化していた入院病棟の労務改善につなげるための方法として、攻守が綺麗に入れ替わるアメリカンフットボールを思い出し、この色違いのユニフォームを病院に取り入れたそうです。
シンプルでいて分かりやすい!
まさに色の機能的役割である「識別性」を上手く利用した例といえますね。
まとめ
熊本地域医療センターのこの事例は費用対効果の高さから、多くの医療機関にとって参考になる事例として高く評価されています。
ユニフォームの2色制は「着るものを変える」といった看護師の方にとっては負担の少ないやり方ですし、大規模な設備投資などの費用も必要としないため、他の多くの病院、またはさまざま分野でも導入できそうな取り組みです。
▼参考:熊本地域医療センター、制服色分けで残業削減。一目で分かる定時退勤促す